2012年7月20日金曜日

ロシアの中国漁船取締の意味するもの

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●中国は韓国より北側の日本海海域に領有権をもっていない


● 中国漁船砲撃拿捕事件の経緯



サーチナニュース  2012/07/20(金) 09:51
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0720&f=national_0720_019.shtml

漁船に砲撃、衝突……露当局の粗暴な取り締まりに強い不満=中国

日本海のロシアの排他的経済水域(EEZ)で中国漁船2隻がロシア当局にだ捕された問題で、中国の駐ハバロフスク領事館は19日、漁船がロシアの巡視船から砲撃を受け、船員1人が海に落下したと発表するとともに、「行方不明者はいない」としたロシア当局に対して強い不満を示した。
中国新聞社が20日伝えた。

だ捕された漁船の船長によると、漁船は北京時間16日午前10時ごろに当該海域に誤って入って操業していたところ、ロシアの巡視船から停止要求を受けた。
速やかに現場を離れようとしたところ、ロシア側は漁船に向けて砲撃を行ったうえで船首をぶつけてきた。
その際漁船員1人が行方不明となり、捜索を行ったが発見できなかったという。

同領事館は、船長の話と「死傷者はいない」とするロシア側の発表に食い違いがあるとして、ロシア側との交渉を開始した。
ロシア外交省の関係者と会った同領事館の李文信総領事は、ロシア側の粗暴な取り締まり方法に強い不満を示すとともに、拘留中の漁船員らに人道的な待遇を与えるよう要求した。


これ、意味がある。
ロシアからのメッセージである。
ロシアは中国のように言葉で伝えず、行動で示すことでメッセージを伝えることが多い。
中国の口数は変態ではないかとおもうほどに異常であるが。
先に、ロシア首相の北方諸島への訪問もその行動メッセージである。

中国の台頭に危機感を持っているのはロシアも同じ。
何しろ陸続きで長い国境線をもっている。
ロシアとしては、日本が中国と対峙してくれていた方が絶対に有利。
中国が海域で主導権を持つことは絶対に阻止したい。
そのためには、日本が強く出てくれることを望んでいる。

その現れの一つが北方領土への訪問であり、この漁船対応である。
こういう形で、日本も行動しろ、といったパフォーマンスである。
つまり尖閣諸島を自国領土と主張するなら、首相自ら尖閣諸島へいけ。
 そして、その自国海域に入ってくる漁船には強硬手段をためらうな。
ということだろう。


サーチナニュース  2012/07/19(木) 09:20
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0719&f=national_0719_010.shtml

ロシア当局だ捕の中国漁船、無許可操業で帰国後処罰へ=中国報道

日本海のロシアの排他的経済水域(EEZ)で中国漁船2隻がロシア当局にだ捕された問題で、中国メディア・第一財経日報は19日、
「帰国後に関連当局から処罰を受ける可能性がある」
と伝えた。

2隻の漁船が所属する山東省威海市の海洋漁業局担当者は、現在漁船の出航時期、番号、船員数などについて調査中であることを明かすとともに
「われわれは関連海域での漁業操業許可証を発行していない。
規定に基づき、漁船は帰国後に処罰を受けることになる」
と語った。

王詩成・元山東省海洋漁業庁副庁長は
「北朝鮮や韓国、日本との操業トラブルは多いが、ロシアとの間で大きな事件が起こるのはまれ」
としたうえで、
「深層の原因は、汚染や過剰操業などによる国内漁場の資源量減少だ。
この問題についてしっかり考えなければならない」
と指摘した。


韓国領域や日本領域、そしてフィリッピン領域に出漁することに政府の後押しがあったので、漁船団はロシア海域もいいだろうとたかをくくったのであろう。
ところがおっとどっこいロシアはそうはさせない。
ロシアはいわば見せしめを行った。
領海を侵犯することはこうなる、ということである。


サーチナニュース 2012/07/18(水) 13:05
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0718&f=national_0718_032.shtml

中国漁船2隻がロシア国境警備局により拿捕、日本海でイカ密漁か

中国の在ロシア領事館などによると、日本海(極東海域)のロシアの排他的経済水域(EEZ)で違法操業していた中国漁船2隻が15日と16日に相次ぎロシア国境警備局に拿捕(だほ)された。
16日にはロシアの警備艇が警告射撃を行ったが、漁船2隻の中国人乗組員計36人に死傷者はいないという。
中国新聞社など中国各メディアが18日伝えた。

在ウラジオストク中国領事館は17日、山東省威海市の漁船2隻が15日と16日に相次ぎロシアの極東海域で拿捕されたことを明らかにした。
漁船にはそれぞれ19人、17人の中国人漁民が乗っていた。
2隻ともナホトカ港にえい航され調査を受けている。

ロシア連邦保安庁国境警備局によると、16日にロシアの警備艇が日本海のロシアのEEZ内で、中国国旗を掲げた漁船が漁を行っているのを発見。
停船命令を無視して逃走したため3時間に渡って追跡し、警告射撃を行った。
拿捕した漁船は漁業許可証を持っていなかったため、乗組員17人を拘束し、密漁したとみられる22.5トンのイカを押収した。

ロシア国境警備局は当初、警備艇と接触したさいに中国漁船から1人が海に転落し行方不明になったと発表した。
しかし中国メディアがハバロフスク総領事館に確認したところ、違法操業により17人乗りの中国漁船が拿捕されたのは事実だが、乗組員に死傷者や行方不明者はいないという。




レコードチャイナ 配信日時:2012年7月21日 15時13分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=63131&type=0



違法操業の中国人船長2人を提訴、漁船への発砲も合法と主張―ロシア

2012年7月20日、ロシア国境警備局は日本海のロシアの排他的経済水域(EEZ)内で違法操業していた容疑で拿捕(だほ)した中国漁船の中国人船長2人を提訴したことを明らかにした。
21日付で環球時報が伝えた。

提訴された中国人船長は、それぞれ今月15日と16日にロシアの排他的経済水域で操業中にロシア国境警備局の警備艇に拿捕された漁船の船長。

ハバロフスクの中国総領事館によると、中国漁船1隻が15日、誤ってロシアの排他的経済水域に入り、ロシアの警備艇に拿捕された。
漁船は現在、ナホトカ港に抑留されており、乗員19人は全員無事だという。

また、16日に拿捕された中国漁船は、ロシアの排他的経済水域で操業中に発見され、ロシアの警備艇から停止命令を受けたが逃走。
警備艇は砲撃し、追跡を開始した。約3時間の追跡の後、漁船に乗り込もうとした際に抵抗を受けたため、銃器を使用したという。
中国漁船の乗員1人が海に落ちて行方不明になっているが、他の乗員17人に異常はなく、同船もナホトカ港にえい航された後、抑留されている。

漁船に発砲したことについて、ロシア当局は
漁船が国際ルールに違反し、故意に逃走を図り、危険な航行を行っただけでなく、警備艇と衝突した。
 ロシア側の行為は合理的、合法的だ」
としている。

また、ロシア当局の報道官は「国境警備隊は中国漁船に様々な方法で停船を求めた後、ロシアの法律に基づいて砲撃した。
船端に向けて行ったものであり、発砲による死傷者は出ていない」
と行為の正当性を主張している。




朝鮮日報 記事入力 : 2012/07/23 10:05
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/07/23/2012072300819.html

ロシアによる漁船拿捕に中国が低姿勢

「ロシアの乱暴な法執行と武力使用で中国の漁船乗組員1人が行方不明になったことに強い不満を表明する」(7月19日)
「突発的かつ個別の事件だ。両国の友好関係の大きな流れに影響を与えないよう、再発防止策を検討していく」(21日)

ロシアの沿岸警備艦による中国漁船砲撃拿捕をめぐり、中国外務省は一貫しない反応を示している。
ロシア政府に強く抗議し、ロシア側の強い反発に直面すると、一転して歩み寄るという経緯をたどっている。
海上での紛争で、韓国や日本に強硬な対応を取ってきた中国は、唯一ロシアには低姿勢だの指摘が出ている。

ロシアの沿岸警備艦「ジェルジンスキー」(3600トン)は16日、違法操業中に停船命令を無視して逃走した中国漁船「魯栄漁80-117号」を3時間にわたり追跡し、東海(日本海)上で砲撃を加えて拿捕した。
事件直後、中国外務省は全く反応を示さず、ハバロフスクの中国総領事館も
「法律と経済的手段によって解決されるはずだ。
政治的事件には発展しない」
と表明した。
さらに、中国中央テレビ(CCTV)など官営メディアが
「中国人乗組員1人がロシア側の取り締まりの過程で行方不明になった」
と報じると、中国外務省は18日、中国版ツイッターの微博(ウェイボー)で
「事実に反する報道だ」
と否定した。

しかし、19日には態度を一変させた。
中国の程国平外務次官は、ロシアの駐中国臨時大使を呼び出し
「ロシア側の乱暴な法執行で中国人乗組員が行方不明になった。
船舶と船員を直ちに釈放するよう求める」
と抗議した。
中国国内での反ロシア世論に配慮した動きだった。

これについて、ロシア側は法律に従った原則的な対応方針を示した。
ロシア連邦保安庁(FSB)に属する北東沿岸警備隊は20日、
「逃走する中国漁船に発砲したのは、海洋警備法に基づく合法的な措置だった。
砲撃は漁船の周辺だけで行った」
とし、中国漁船の邱暁明船長ら2人を既に起訴したことを明らかにした。

リア・ノーボスチ通信などロシアのメディアは、中国漁船が行方不明になった乗組員を救助しようともせずに逃走したと報じた。
それ(これ)によると、ロシアの沿岸警備艦が追跡を中断し、海に転落した中国人乗組員を救助する間、中国漁船は逃走を試みたことになる。
ロシアの沿岸警備隊関係者は
「中国漁船の船長は海上遭難者に対する国際的な義務すら守らなかった」
と非難した。

こうした事実関係が明らかになると、中国外務省の洪磊副報道局長は21日、全く異なるトーンの論評を発表した。
その内容は
「今回の事件は突発的かつ個別の事件であり、両国の友好精神に沿って、早期に解決したい。
両国の国民が客観的かつ冷静に事件に対処することを希望する」
というものだった。
洪副報道局長はまた
「類似する事件が再び起こり、両国の友好関係の大きな流れに影響を与えないよう、ロシア側と再発防止策を検討していく」
とも表明した。


中国は今、ロシアと事を構えたくない、といった心境だろう。
ロシアは日本に
「自国の領土なら、ガツンとやれ」
とけしかけいる。
そのやり方を実際に実行させてみせた。
そんなロシアを、敵に回したくない中国。
中国は綱渡りをやっている。
が、ときどき歯車が噛み合わなかったり、所定の目標が得られなかったりと四苦八苦しているようである。



レコードチャイナ 配信日時:2012年7月27日 19時1分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=63294



オスプレイの配備で日中関係はますます深刻に、
米中関係に影響はない―ロシアメディア

 2012年7月26日、ロシア国営ラジオ局・ロシアの声(電子版)は、米軍が垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを沖縄に配備することについて、日中関係をさらに悪化させるだけだと論じた。
 27日付で環球時報(電子版)が伝えた。
 以下はその内容。

 オスプレイの沖縄への配備は、日中関係の新たな火種になりかねない。
 すでに12機が米軍岩国基地(山口県岩国市)に搬入されているが、米軍は沖縄での存在感を強めるため、普天間飛行場に計24機を配備する計画だ。

 アジア・太平洋回帰路線を打ち出した米国は、在日米軍基地の装備刷新に着手。
 現地住民の強い反対などお構いなしにどんどん進めている。
 ましてや、日本政府が米国人のこうした行動を止める気配がないのだからなおさらだろう。

 日本における米国の軍事力が高まれば、中国の不満を招くことは避けられない。
 特に日中の領土問題が激化しているこの時期だ。
 米国も日米安保条約の存在をしきりに中国にアピールしている。
 米軍機は中国の陸上や海上を監視する偵察目的にも使用できるのだ。

 オスプレイの行動半径は約700km、1機当たり24人の海兵隊が輸送可能だ。
 日本と中国が領有権を争う海域もちょうどこの半径内に入る。
 中国にとって、かなりの圧力になることは間違いない。

 だが、ロシア政治調査センターの専門家、パーヴェル・ルージン氏は
 「これは米中関係にとって最重要問題ではない。
 輸出入の保護主義、人民元レートを含む経済問題の方が大事だろう。
 双方とも軍事・政治面で新たないざこざを起こすことは避けたいと考えている」
と指摘する。

 そうであれば、オスプレイの配備で真っ先にダメージを受けるのは日中関係だといえる。
 そして、中国人のナショナリズムはさらに刺激されることになるだろう。


 ということは、
 オスプレイの配備がロシアに影響を与える、とロシアは見ている

ということになる。
 ロシアにとってに日中の対立は「良」とするところであり、そのほうがロシアとしては動きやすいし、ロシアの動きが日中の行動を方向づけるというメリットがある。
 が、日本におけるオスプレイは、存在そのものが、ロシアの脅威になりうる可能性も大きいということでもあるようだ。



【日本にその覚悟があるのか】



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