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国有化について述べた最初の論説であるが、ひどく穏やかである。
あのいっときのボス猿的な轟砲論調からはかけ離れている。
「日本にその覚悟はあるか」という賭けに負けて気が沈んだということではないだろう。
国有化してもらって、嬉しさがにじみ出ている感じがする。
でも、歓喜の言葉を連ねるわけにもいかないから、実に当たり障りのない言葉の羅列でまとめている。
当局の圧力がかかっているといった感じもあるが、あまり深く突っ込まないということなのだろう。
少々論旨がわかりにくいが、なんとかまとめようと必死であることは伝わってくる。
ハト派に近いところでまとまって、ホッと安心というところか。
つまるところは、タカ派の石原老人が強硬論を唱えたことによって、落とし所が見えたということかもしれない。
もしかして、石原と野田はウラで手を結んでいたかもしれない。
石原が煽って、野田がマアマアと収める、それで中国もホットするという筋書き。
中国も日本もそれで丸く治まる、というシナリオ。
ありそうなことである。
外交とはそういうものだろう。
ゲームなのだから。
『
レコードチャイナ 配信日時:2012年9月6日 16時0分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=64409&type=0
<尖閣購入>
野田首相の政治生命を賭けたゲームの結末は、国家全体の敗北―マカオ紙
2012年9月5日、マカオ紙・澳門日報は社説で
「日本政府による尖閣諸島購入は非常に危険なゲームであり、綱渡りの結果、逆戻りできない災いという結末へ至る可能性がある」
と論じた。
今年4月より、東京都が購入準備を進めていた尖閣諸島について5日、国が直接購入することで地権者と合意したと報じられた。
両者の交渉が順調に進めば、尖閣諸島のうち三島(魚釣島・北小島・南小島)が、今月中にも日本の“国有地”となる。
これを澳門日報は、
歴史的観点、政治的観点、いずれからも無意味な行動」
と評したが、その“無意味な決断”をした野田首相の真意については、
「自身の政治生命を守るため」
と分析した。
就任1年を経て、その支持率は当初の6割から2割強に落ち込んだ。
これといった実績も残さないまま、今月21日には民主党の代表選を控える。
「領土を守った英雄」という肩書きが、野田首相個人の苦境を救う命綱になると記事では論じている。
尖閣諸島の国有化は無論、日本による同地の実効支配を強めることになる。
自衛隊派遣や関連施設の建設など、政府が領土管理を一手に引き受けることになるからだ。
しかし、中国にとっては、尖閣諸島が私有地であれ国有地であれ、「そもそもが中国の領土である」という歴史的認識に変わりがない。
今回の購入計画によって露呈したのは日本側の“焦り”であり、その結果、
中国側に「なんとしても領土を守る」と改めて決意させることになったにすぎない。
この危険な賭けは結局、野田首相の政治生命を奪うだけでなく、国家全体に敗北をもたらす契機にすらなる、と記事は締めくくった。
』
『
サーチナニュース 2012/09/06(木) 13:52
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0906&f=politics_0906_020.shtml
野田首相の釣魚島問題での賭けは日本をダメにする=中国報道
中国メディアの「澳門日報」は5日付の社説で、
「野田首相の釣魚島(中国側呼称、日本名:尖閣諸島)問題での賭けは日本をダメにする」
と論じた。
中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。以下は同記事より。
野田内閣の一人芝居「釣魚島購入」という茶番劇はカウントダウンに入った。
「釣魚島購入」構想が歴史的根拠も法的基盤もない政治の茶番劇であることは明らかなのに、日本政府が飽きずに固執し続けるのはなぜか。
その答えははっきりしている。
野田氏はこのやり方が自らの地位を守る最後の頼みの綱だと考えているためだ。
野田氏の首相就任から1年が経ったが、残念なことに、政治上で表立った実績を出せていない。
就任時に60%を超えていた支持率は今では26.3%まで下がり、経済改革は混乱し、国民の間で不満の声が上がり、外交では周辺国との関係が悪化し、孤立するなど、野田氏本人も「悪夢」だと認めざるを得ない状況だ。
さらに恐ろしいことに、民主党は9月21日に代表選挙を行うことになっており、退陣を迫られる野田氏が地位を維持できるかが大きな問題となっている。
内政、外交にあえぐ野田内閣はポピュリズムを掲げ、領土を守る「民族の英雄」と評価されれば、困難を脱すことができるかもしれないと考えたのだろう。
いわゆる「国有化」は、日本が釣魚島の実効支配を強化するための卑劣な手段であることは明らかだ。
「国有化」されれば日本の国家財産となり、政府が釣魚島の防衛、開発、管理などの一切の権利を握ることになる。
「国有化」は最終目的ではなく手段にすぎず、日本政府は続いて自衛隊派遣や関連施設の建設などの一連の措置を講じ、釣魚島の占領を強化するに違いない。
中国にとって釣魚島を日本の個人が「私有」しても政府が「国有」しても、本質的には同じである。
野田氏が「島購入」に成功しても、釣魚島が古来より中国の領土であるという歴史的事実を変えることはできず、日本による不法占拠を合法的にすることなどもっとありえない。
日本は釣魚島の「現状」を変えようと知恵を絞っているが、道理と根拠がないことにより却って焦りや不安をもたらし、中国に国家主権と領土保全を守る決意を固めさせることになる。
日本政府の「島購入」は非常に危険なゲームで、日中間の「綱渡り」であり、悪い結果をもたらすやり方だ。
中国側は、日本側の釣魚島におけるいかなる一方的な行動も不法で無効であり、現状を変える意志を貫けば、日中関係に深刻な影響を及ぼすと何度も警告してきた。
これは大げさな言い方ではない。
野田氏は消費税増税に政治生命を賭け、幸運にも増税法案は可決された。
しかし、釣魚島問題でも同じ方法をとるというのは、おそらく間違っている。こ
のやり方は野田氏自らの政治生命を失うだけでなく、日本全体をダメにするだろう。
』
その次に出た論調も穏やかである。
調子が出てないというか、ラッパが吹けないというか、これまでの中国論調とはひどく違う。
カヤのなかで吹いているような、こもった感じがする。
『
レコードチャイナ 配信日時:2012年9月7日 17時32分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=64450&type=0
<尖閣問題>
日本政府が11日にも国有化へ、中国にとっては新たな「国辱の日」―中国メディア
2012年9月7日、中国共産党機関紙・人民日報系の国際情報紙「環球時報」(電子版)は日本政府が11日にも尖閣諸島(中国名・釣魚島)の3島を国有化する方針を示したことを受け、
「日本は
9月11日を中国の新たな『国辱の日』
にしたいようだ」
と報じた。
記事は日本メディアの報道として、日本政府が11日に尖閣諸島の魚釣島、北小島、南小島の3島を所有する地権者と売買契約を結ぶ方針であることを複数の政府関係者が明かしたと伝えた。
また、野田政権が
「中国側の反発を最小限に抑えるため、できるだけ早く国有化する方針」
であるとも報じた。
これを受け、華字紙・日本新華僑報の蒋豊(ジアン・フォン)編集長は7日、自身のブログで
「日本政府は9月11日を中国の新たな『国辱の日』にしたい考えのようだ」
と反発。
在日中国人ジャーナリスト・莫邦富(モー・バンフ)氏も
「9・11から9・18(満州事変の発端となった柳条湖事件)まで、
『忘れることができない日本ウイーク』
になりそうだ」
と指摘した。
また、記事によると、
「違法な手段で中国領土を盗み取ることをたくらんでいる日本政府」
に対し、中国外交部の報道官は5日、
「中国側の再三にわたる厳正な申し入れを無視し続けるのなら、中国の領土主権と中国人民の感情を著しく損なうことになる。
日本側はこの問題を一体どの方向に持っていくつもりなのか?」
と警告した。
』
『
JNNニュース
』
記事を見ると、日本に敗れた悔しさがにじみ出ている
「9月11日:中国の新たな屈辱の日」
「9・11から9・18:忘れることのできないジャパンウイーク」
「日本側はこの問題を一体どの方向に持っていくつもりなのか?」
と。
もはや、この問題について中国は何らの力も行使できないという屈辱感に満ちている。
まとめてみると、中国の「日本にその覚悟はあるか」という脅しは、自衛隊派遣も辞さずという日本政府の方針を決定させて、
「中国と一戦交えるのもやむなし」
という、世論を引き出してしまった。
さらには、同時多発テロという悪夢すら呼び起こしてしまった。
中国にとっては最悪の結末を導いたといっていいだろう。
国有化は名目的に反対していただけのもので、とりたてて大きな問題ではない。
相手が国になった分、話が楽になったということはある。
ただ、強く反対していただけに、抗議行動が起きて当然だがそれが伝えられてきていないということは、悪夢の再来を防ぐために強く抑えこんでいるということだろうか。
第三者的にみれば、
今回の問題は日本の勝利、というよりも大勝利
ということになってしまった。
これまでは中国に対して卑屈な態度しかとれなかったが、そのトラウマが開放され、中国に面と向かって「no」というようになり、開戦も視野に入れるほどの行動がとれるようになった。
2/3世紀ぶりに日本がノーマルになった
ということだろう。
中国にとっては、
「手強いキツネ」が足元にいた
ということになる。
これまでのように、脅せば引っ込むキツネ、ではなく、
キバを研ぐキツネ
に中国の浅はかな圧力が変身させてしまった、ということになる。
中国にとっては、今後のアジア政策を進めるにあって
手痛い敗北
であったといえよう。
と、同時に国内の不安定を露呈させてしまった、ともいえる。
『
サーチナニュース 2012/09/06(木) 10:58
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0906&f=national_0906_019.shtml
【中国BBS】日本政府が尖閣購入で合意、中国人の意見は…
中国大手検索サイト百度の掲示板に
「日本政府が釣魚島(中国側呼称、日本名:尖閣諸島)を購入するらしいぞ」
というスレッドが立てられた、スレ主が紹介したニュースについてさまざまな意見が寄せられた。
日本政府は尖閣諸島の国有化に向け、魚釣島、北小島、南小島の3島を20億5000万円で購入することで地権者と合意したと報じられた。
スレ主は
「何か事が起きるのではないか」
と述べたところ、ネットユーザーからは次のような意見が寄せられた。
●・「スレ主はそんなに焦るな。われわれはすでに抗議する準備はできた」
●・「なに急いでるんだよ。すぐにでも日本を非難するさ。急いでも意味がない」
●・「よく買った。今が抗議のタイミングだな」
●・「なぁに、外国部に抗議させればいいさ」
中国政府の反応はいつも“抗議だけ”であるため、中国のネットユーザーからは中国政府の対応を揶揄(やゆ)するコメントが非常に多く寄せられた。
しかし、
「ついに戦争ということか?」、
「第3次大戦になったら地球はもう終わりだ」、
「第4次世界大戦から石器時代に入るな」、
といった悲観的なコメントも少なくなかった。
ほかには、
「釣魚島が誰のものになっても俺とは1円も関係がない、給料もらって、地球は回り、生活していくだけ」
という冷めた意見や、
「右翼と国内矛盾に対応するための策だと思う。
右翼が島を買って戦争になることを防ぎつつ、形式上はメンツを保って国民感情を抑えることができる」
と分析する人もいた。
日本政府と地権者が尖閣諸島の国有化で合意したことについて、中国外交部の洪磊報道官は
「中国は事態の動向に注目しており、領土権の維持に必要な措置を取る」
と発言し、従来よりも批判のトーンを強めている。
』
これまで、中韓は国内のゴタゴタの息抜きに日本を利用してきた。
「反日」は世論を盛り上げる格好のテーマであった。
だが、今回はそれが裏目に出た。
例えば中国だが、反日行動は一歩誤ると、反政府運動に発展する危うさを含むようになっている。
経済的に上昇気流に乗っているときはいいが、成長が鈍り安定へと向かうと、底辺層は当局への反発を強めていくことになる。
20カ所という高範囲なデモは反日というより反政府のほうが色濃く出ている。
次に韓国だが、中国と手をたずさえての反日のつもりが、途中で中国が降りてしまった。
いつもの日本なら穏便にという姿勢で臨んでくるのに、今度は思わぬ強硬態度で接してきたために、戦場に一人取り残されてしまった。
現政権と対話せず、経済制裁を実行するという、これまででは考えられないような動きをしてきた。
ために、少なくとも向こう半年は真っ暗なトンネルを進むことになってしまった。
中国にしても韓国にしてもこれまでの対日本政策では、今後は乗り切れない、ということを認識していることだろう。
何しろ
日本は野田政権でとんでもなく変わった。
その変わりに便乗して、自民党や維新の会などはそれを上回る強硬姿勢を打ち出そうとしている。
そのうち、
反日は中国・韓国にとって国を蝕む刀
になりかねなくなるかもしれない。
【日本にその覚悟があるのか】
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