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● JNNニュース
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産経ニュース 2012.9.10 23:35
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120910/chn12091023360005-n1.htm
「違法かつ無効」中国外務省の声明全文
中国外務省は10日、日本政府が沖縄・尖閣諸島(中国名・釣魚島)の国有化を決めたことを受けて、声明を発表しした。
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日本政府は中国の再三の厳正なる抗議を顧みず、釣魚島の「購入」を宣言し、いわゆる「国有化」を実施した。
これは、中国の領土主権に対する重大な侵犯であり、13億人の中国国民の感情を著しく傷つけ、史実と国際法を踏みにじった。
これに対し、中国政府および人民は断固たる反対と強烈な抗議を表明する。
釣魚島および周辺諸島は古来、中国の神聖なる領土であり、それは歴史を証拠とし、法を根拠とする。
釣魚島は中国人がいち早く発見し、命名し、利用してきたもので、中国の漁民が昔から活動してきた。
明代にはすでに中国の防衛管理範囲に組み入れられ、台湾の付属島嶼(とうしょ)であった。
釣魚島は“主のいない地”であったことはなく、中国こそが争いのない主人である。
1895年、日本は甲午戦争(日清戦争)末期に、清朝政府の敗北に乗じて、違法に釣魚島を窃取した。
続いて、不平等な馬関条約(下関条約)へ署名し、「台湾全島と付属島嶼」を割譲するよう脅迫した。
第二次大戦終結後、カイロ宣言とポツダム宣言を根拠に、中国は日本が侵略した台湾、澎湖諸島などの領土を回復し、釣魚島と周辺諸島は国際法上、中国に回帰した。歴史は覆すことはできない。
日本の釣魚島に関する立場は、世界の反ファシスト戦争の勝利の成果を公然と否定するものであり、戦後の国際秩序に対する重大な挑戦だ。
1951年、日本は米国などとの間で不公平な「サンフランシスコ平和条約」に署名し、琉球群島(現在の沖縄)は米国が管理することとなった。
53年、米国琉球政府は勝手に管轄範囲を拡大し、中国領である釣魚島と周辺島嶼をその中に巻き込んだ。
71年、日米両国は沖縄返還協定の中で、またしても勝手に釣魚島と島嶼部を「返還区域」に組み入れた。
中国政府は日米にこのような勝手に中国の領土を移譲するような行為に最初から断固反対し、承認していない。
日本政府が釣魚島は日本固有の領土で、日中間には解決しなければならない領土紛争は存在しないというのは、完全に歴史と法のごまかしであり、まったく成り立たない。
72年の中日国交正常化、78年の平和友好条約締結の交渉過程で、両国の一世代上の指導者は大局を見て、「釣魚島問題を棚上げにして、解決を後回しにする」との重要な了解と共通認識をまとめた。
日中国交正常化の門はここから開いたのだ。
中日関係の大いなる発展は40年となったばかり、東アジア地区の安定と安寧も40年になったばかりだ。
もし日本当局が当時の共通認識をあくまでも否定し、一切を帳消しにするならば、釣魚島をめぐる情勢はいかにして安定を保てようか?
中日関係は今後、いかにして順調に発展できようか?
日本はいかにして隣国や世間の信用を得られようか?
近年、日本政府は釣魚島問題においていざこざを引き起こしてきた。
特に今年に入ってからは、右翼勢力が「島購入」の風波を巻き起こすのを大目に見て甘やかし、それによって自らの「島購入」の道に橋を架けた。
日本側の釣魚島問題に関するあらゆる行為は偶然ではない。
それを反映して出てきている政治の傾向は警戒に値すると人々が考えるには理由がある。
われわれは問わずにはいられない。
日本はいったいどこに向かおうとしているのか?
日本が将来、どこに向かっていくのか、人々を安心させられるのか?
中国政府は一貫して中日関係の発展を重視してきた。
中日両国と両国民は友好的に付き合うほかなく、互いに敵対などできない。
中日の戦略的互恵関係を推進することが、両国民の根本利益に符合し、地域の平和と安定、発展の大局に役立つ。
しかし、中日関係の健やかで安定した発展は、日本側が中国側と同じ方向に向かい、ともに努力することが必要だ。
日本政府の「島購入」という行為は中日関係維持の大局とは反対の方向に向かっていく。
中国政府は厳しく言明する。
日本政府も「島購入」は完全に違法かつ無効である。
日本が中国の領土を侵略したという史実はいささかも変えられない。
中国の釣魚島および周辺諸島に対する領土主権はいささかも変えられない。
中華民族が侮られた時代は過ぎ去り、再び戻ることはない。
中国政府は主権が侵犯されることを黙ってみていたりなどできない。
中国側は、日本側が中国の領土主権を損なう一切の行為を直ちに停止し、掛け値なしに双方が達した共通認識と了解に立ち戻り、交渉による紛争解決のレールに戻るよう強烈に懇請する。
日本があくまで耳を貸さずに独断専行するならば、
それによって生じる一切の深刻な結果は日本側が負うほかない。
』
中国外務省の声明ということであり、これは実行性のあるものである。
上の部分は単なる文の羅列であり、後の2行部分が最も重要。
「
中国政府は主権が侵犯されることを黙ってみていたりなどできない。
それによって生じる一切の深刻な結果は日本側が負うほかない。
」
さて、中国政府はどう打って出てくるかだ。
1ラウンドは中国の敗退で終わった。
2ラウンドへ入ったということであろう。
1ラウンドで分かったことは、以前の日本なら中国の脅しに屈してしまうのだが、
野田政権はすこぶる毅然とした態度でピッチリと対応した
ということだ。
野田政権が発足したときやったのが、中国が沖縄に上陸する可能性があるとして、北海道の戦車部隊を九州に運んで大分で演習をしたことだ。
北海道の戦車部隊は旧ソ連の上陸に供えて置かれていたものである。
それを九州まで運んだということは、当面の備えがロシアから中国へと変わったということである。
それをこの移送で示した。
これまで、中国を仮想敵国として軍事演習したことはない。
野田政権になってはじめて中国があからさまに「仮想敵」と位置づけられた、ということになる。
以降、野田政権は着々と歩みを進めることになる。
1.中国を仮想敵とした防衛白書を発表し、
2.尖閣諸島への自衛隊の投入の可能性を明言し、
3.国会は尖閣諸島の決議を採択し、
4.そして国有化を実行した。
もはや日本にとって中国は仮想敵という形でしか存在しなくなっている。
逆にいうと、そう思わせる行動をこれまで数々中国はとってきている。
あの漁船の体当たり問題あたりから始まっているのだが、なにより大きな圧力となって日本に降りかかっかってきているのが、
中国の止めどもない軍備増強政策
である。
海を挟んでだが日本と中国は国境を接している。
その一方で軍備の拡大が激しく行われれば、もう一方は警戒せざるを得ない。
ご無理ごもっともとこれまでのようにニコニコ笑ってばかりはいられない。
中国の軍事レベルが日本の警戒水準を超えた、と認識した時は日本としても相応の対応と心構えをしないといけなくなる。
そのレベルを導いたのが尖閣だろう。
日本は今後、中国の軍拡に対抗していかなくてはならない。
歴史的な中国の恨みというのは、明確に日本に向いている。
小さな島国に蹂躙された屈辱劣等感が渦巻いている。
もし、軍事膨張の行き着く先がどこかと問われれば、まずはじめに「日本」と答えて間違いはないだろう。
そうであるならば、日本は脇を固める必要がある。
その刺激をになったのが尖閣であろう。
尖閣によって、日本は中国の圧力にさらされ、これまでの曖昧な状態から目を覚まされた、
といっていい。
日本は中国に批判されるとこれまで「ゴメンナサイ」と頭を下げてきた。
今後はそれが大きく変わっていく。
中国の批判は中国側の論理で、日本とはまるで関係のないこと、
と切り捨てることになるだろう。
「ノーと言える日本」に変わっていくということになる。
そのためにはまず、心理的精神的防御を固めることからはじめることになる。
これが野田政権になって大きく変わった日本ならびに日本人の意識である。
次の政権が誰であれ、野田政権が明確に敷いたレールの上を進むしか道は残されていない。
中国は来月、全国人民代表会議が控えている。
この時期に大きな動きはとれない。
おそらく、動くとしたら新しい政権ができ、安定してからだろう。
この全人代に花を添えるつもりで「日本にその覚悟はあるか」と迫って一蹴された経緯がある。
それが第1ラウンドであった。
第2ラウンドは慎重にいくだろう。
それでも、新政権発足で一気に高揚するであろうから、その時を狙って打ち上げ花火として動くかもしれない。
ただ、それに失敗すると二連敗という致命的な結果を残すことになる。
日本がその気になっている
ということは中国では分かっている。
日本の恐ろしさは中国は歴史的に身にしみて知っている。
今の中国は共産党政権である。
これまでの高度経済成長は欧州危機の影響で動きが止まりつつある。
成長しているときはいいが、止まると民衆の不満が爆発的に噴き出してくる。
政府当局幹部の腐敗、各種格差の拡大、貧民層の増大、農村を離れざるを得なくなった流民、開発で土地を追われた民衆、経済成長の鈍化による都市失業者の群れ、など問題はいくらでもある。
民衆の不満を反日というガス抜きで処理するという手はあり得るが、それが何時当局に向けた暴動に発展するかはわからない。
今の中国ではバタフライ効果が拡大する可能性がある。
バタフライ効果とは思ってもみなかったところに、思ってもみなかった形で出現する
ということである。
いまの中国では何が起こるかわからない。
昔の共産党は草の党であった。
いまの共産党は「貴族階級」であり、「資産階級」であり「富裕者層」である。
「特権階級」にして、「お金持ち階層」である。
逆にいうと、昔の性格とはまったく変わってしまっている。
「富に拘束された集団」
にすぎない。
言い換えると、悪銭にまみれた銭ゲバ党である。
よって、別の「富を狙うグループ」の格好の標的になってしまっている、ということである。
さて、いつ第2ラウンドが開始されるだろうか。
いまはその前のインターバルタイムである。
想像をたくましくすれば、果たして中国の尖閣侵攻奪取はありえるか、ということだが。
「ない」といえる。
世界ナンバー2 の大国が普通の国が長年実効支配している島に軍事侵攻して奪取したとして、それに国際世論はどう反応するかだ。
おそらく「中国に非がある」とし、警戒心を深めることになる。
このときナンバー2 という信頼は世界から消える。
もちろんそれでも、「奪取してしまえば勝ち」という論理は成り立つ。
よって、世界のことは考えずに獲ってしまえ、ということはありえる。
それで済めば事は簡単になる。
だが、そうはいかない。
相手が悪い。
日本は倍、三倍の報復にでるであろう。
まず、侵攻した兵には当たり障りのない攻撃を加えて、ダメージを与えないようにする。
肝心なことは上陸した歩兵隊あるいは海兵隊に与えるダメージは最小限にして、
「生かして」おかねばならない、ということである。
日本はまず「補給路を断つ」という名目で、その海域を封鎖し、侵入する艦船を撃沈し、補給のための輸送機、ヘリを撃墜する。
もしその範囲にモノがいなくなったら、その範囲を徐々に広げていく。
モノを壊す、というのが一番有効な方法である。
明確に勝ち負けをを演出するのは、対中国では人的損害ではない。
艦船や航空機の損害である。
人海戦術国家にあって兵隊はすぐに補給が効く。
中国にあっては人はモノの数に入らない。
それより、特に艦船を撃沈したほうがわかりやすい。
その数が日本側の被害と同等だとしても、中国国内では反政府運動のキッカケができる。
日本が周囲を封鎖して上陸兵を生かしておくかぎり、中国は彼らを救出せざるを得なくなる。
もし見捨てれば、中国国内の世論が沸騰する。
繰り返すが、
中国共産党の基盤は中国人民が一致して外国と戦争できるほど強固ではない。
何かキッカケがあれば即座に「同時多発デモ」になり、それは打倒共産党に進むまでワズかな距離しかない。
日本の封鎖網を突破しようとすれば、さらに物的損害が拡大する。
ますます、中国国内では反政府運動が高まっていく。
中国愛国主義は、反共産党に結びつく。
こうなると、共産党政権の崩壊は目前になってくる。
と、いったことを考えると、
今の共産党基盤の上における中国政府には、尖閣軍事奪取の選択肢はない。
では何もしないかというと、建前上そういうわけにもゆかない。
それ以外の方法でのイヤガラセが発生する。
それが果たして何になるのか、どんな形で出てくるのか、そこが最も注視するところだろう。
【日本にその覚悟があるのか】
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